リノの部屋から出たルピルは夜空へと飛び立った。

 心の中には、ほっとしたような、ウキウキするような感覚があった。

空を飛びながら。ショタ天使の自慰行為

 無事使命を果たせたことは安堵すべきことで、また次の使命への自信にも繋がることでもあった。

 何より人間との行為の気持ちよさ。あれをこれからも味わえるのかと思うと、空を飛んでる最中だというのに、ルピルはペニスの勃起を抑えられなかった。

 ルピルは翼を羽ばたかせながら衣の前を開き、ペニスを露出させた。

 みずからの右手でペニスを握り、上下にしごき始めた。

「ああ……」

 リノの幼い裸体を頭の中で思い起こした。ついさっき経験したばかりの少女の膣の感触を、二度のフェラの快感を思い出しながらペニスをしごいた。

「んん……んぁっ!」

 手の中でペニスが跳ね、精液を放出した。真白い聖液は闇夜の中、神秘的なきらめきとなって、どこかへと降り注いでいった。

「ふぁぁ……」

 中空で仰向けになり、月を仰いで飛びながら、ルピルは恍惚とした声を出した。 

      §

 それから少しの時間がたった。

 夜の森の中、微かに光る花があった。

 正確には、花が光っているわけではない。そのおぼろな白い光を放っているのは、その花に付着したルピルの聖液なのであった。

 その花の側で、ひとつの人影が足を止めた。やや小柄で、そのシルエットから“少女”であると思われた。

 “少女”はその可憐な指を伸ばし、花に付着した天使の精液を拭い取り、それをそっと口に含んだ。

「ふぅん……」

 闇の中、どこか淫靡で、かつ邪悪にも見える笑みを浮かべ、夜天を仰いだ。

修道女セリイ

 次の晩、ルピルは再び使命を果たすため、新たな街へ来ていた。

 その街の郊外には古くから女性修道院があり、そこに住まう修道女のひとりに癒やしを注ぐ必要があった。

 礼拝場の外まできて、ルピルは窓から中をのぞいた。ひとりの美しい修道女が、祭壇の前に跪いて、神に祈りを捧げていた。

 昨日のリノとは異なり、大人の女性だ。名前はセリイ。年齢は20歳。孤児で、幼少よりこの修道院で育ったとのことだった。

「神様、もうじきあなたの元へまいります」

 その声がルピルの耳にも届いたのは、天使ゆえの聴覚の高さもさることながら、その声が主と天に向けられた“信仰心”あるものだったからだ。

「いえ、けれども……わたしはちゃんと、そちらへ逝けるのでしょうか」

 彼女もまた、自分が病を得ていることを理解しているようだった。ルピルは昨夜同様、自分の体を霊体化し、壁をすり抜けて、礼拝堂の中に入った。

 再び体を半霊半肉の状態に戻し、セリイに自分の存在を知らせるために、わざと小さな足音を立てた。

「誰!?」

 振り向いた彼女は、翼の生えたルピルの姿を見て硬直した。

「僕が何者か、わかりますか?」

 セリイの方へゆっくりと歩きながら、ルピルは聞いた。

「天使―――さま?」

「はい、あなたのために天より使わされた、名をルピルといいます」

「わたしを、迎えに来られたのですか」

 昨夜のリノと同じことを、セリイも言った。仮にルピルの存在を素直に信じたとしても、そのような解釈になることは自然なことだろうと、ルピルも思った。

「いえ、違います。信仰心厚きシスターセリイ、神様はあなたを見放しになってはおりません。僕は癒やしの天使として、あなたを救いに来たのです」

「救い……に?」

 つぶやくようにいったセリイの目の前で、ルピルは立ちどまった。少年天使を見つめる修道女の顔はやや上気し、瞳は微かに潤んでいるように見えた。

「はい、ですがあなたを癒すためには、あなたがたが禁じている行為を必要とします」

「禁じている? それはなんなのですか」

「聖交―――僕とあなたの、男女の交わりです」

 セリイは息を呑んだらしかった。修道女の頬ははっきりと赤くなり―――そしてその瞳の潤みはぬらりとした鈍い光に変わった。

「そ、そんな……神様の使いたる天使様と、そんなこと」

「シスターセリイ、僕が本物の天使であることは分かりますね」

「は、はい」

「神様は男女の交わりを禁じてはいません。禁じているのはあなたがた宗派の教えです。

 もちろん、神様はあなたがたの禁欲的な生き方を否定もしません。むしろ推奨するでしょう。あなたがたが修行を成すために、それは効果的な方法ですから」

「…………」

「ですがあなたにとっていま必要なのは、僕との交わりによって癒やしを得ることです。

 シスターセリイ、これは天の意志です。僕にとっても、天からの使命です。

 もしあなたがいやがったとしても、僕は無理矢理にでもあなたと交わり、それを成し遂げねばなりません」

「使命……」

「はい、ですがそのような心苦しいことはしたくありません。協力して頂ければ、助かるのですが」

「…………はい」

 やや熱を帯びた声で、セリイはこたえた。

「天使様に、この身をゆだねます」

修道女の豊満な乳房

 このままでは身長差があるので、まずはセリイにその場に跪いて貰った。

 まず額にキスをした。吸い、または息吹を注ぎつつ、ベールを脱がせた。その下の長く美しい銀髪があらわになった。

 続いては唇と唇を重ねた。吸って、息吹を吹き込んだ。

「んっ…」

 と声を漏らしたのはセリイだったが、次の瞬間ちょっと驚いたのはルピルだった。セリイが、その舌をルピルの口内に入り込ませてきたからだった。

 特に必要はないが、不都合もないので、ルピルは修道女の舌が自分の舌に絡みつくにまかせた。その肉厚な舌の感触は、昨夜のリノのものとは異なるものだった。

 後ほどこの舌に舐めしゃぶって貰えると思うと、衣の下、すでに勃起したペニスの先端からは、早くも先走りの液がじんわりと浮き出していた。

 キスの次は胸の愛撫だったが、修道服は開けるところのないワンピースなので、いまの体勢では脱がせられなかった。

「服を」

 というと、セリイも察してくれたようで、

「自分で脱ぎますわ」

 そういって立ちあがり、スカートの裾を持ってたくし上げ、そのまま脱いでしまった。

 ブラジャーとショーツのみの姿となった修道女の姿に、ルピルは息を呑んだ。修道服の上からでは分からなかったが、セリイの乳房は梨のように大きかった。

 女性の大きな胸は、ルピルの好むところだった。少年天使の眼が胸に釘付けになっていることに気付いたのか否か、

「これも、外しますね」

 セリイは潤んだ瞳で、ブラジャーもまた取ってしまった。

 大きさだけでなく、セリイの乳房は形もよかった。ブラなしでも崩れることはなく、綺麗なピンク色の乳首は少女の愛らしさを残していた。

「ど、どうぞ」

 セリイが再び跪いたので、ルピルは目のくらむような思いをしながら、修道女の乳房に顔を近づけた。

 すでに硬くなっている右の乳首に吸い付いた。顔を押しつけて乳房の柔らかさをあじわい、舌を使ってその乳首を舐めた。左の乳房へは手のひらを押し当て、ふにふにと揉んだ。

「ああ、あああっ……」

 明らかな官能の声を、修道女があげた。

 病の気を吸い出し、聖なる息吹を注ぐことは忘れなかったが、ルピルが修道女の乳に夢中になってしまったことは確かだった。

 本来なら必要ないほど長い時間をかけ右の乳房を味わった後、今度は左の乳房に移り、やはり長時間かけて吸い、吹き、愛撫した。

「天使様……わたし、もう……」

 そういったセリイの秘所は濡れ、ショーツ越しにも愛液をしたたらせていた。ルピルはそっとセリイを横にならせると、腰を浮かせてショーツを脱がせた。

 陰毛は頭髪同様銀色で、しかも薄めであったから、傍目には生えてないかのようにも見えた。ヴァギナとクリトリスは、乳首同様愛らしいピンク色をしていた。

 修道女の秘所から漂う蠱惑の香りをかぎながら、ルピルはセリイの股間に顔を埋めた。クリトリスに吸い付くと、セリイは高い声をあげた。

「あああっ、天使様」

 舌を使い、女性器全体を丹念に舐めた。そのあとで膣の入り口に唇を当て、病の気を吸い、そして聖なる息吹を吹き込んだ。

「ああ、天使様、それ、すごい」

 感じてくれた方がやりやすい。舐める、吸う、吹く、それを繰り返し、やがて病の気の最後の残滓を吸いきった瞬間、

「ふ、ふああ」

 セリイがびくびくと身を痙攣させ、ルピルの顔面へと、透明な液を噴射した。

大きな乳房でパイズリを受ける天使

「ああ、申し訳ございません、天使様」

「い、いえ、平気です」

 そういってルピルは修道女の股間から顔を離し、またセリイの手を取って、彼女の上体を起こしてやった。

 さてこれからは精を―――聖を注ぐ時間だった。ルピルにとってもお待ちかねといってよかった。ペニスや睾丸の中でずっと押さえ込んできたものを、ようやく解放できるのだ。

 白い衣の前を開き、勃起したペニスを修道女の前に晒した。

「ああ、おちんちん、凄い、ちゃんと勃ってる」

 夢でも見ているようなささやき声で、セリイがいった。

「それ、では……」

 フェラチオをお願いするところなのだが、ルピルの眼は、再びセリイの豊満な乳房に吸い寄せられていた。

 味わいたい、と思った。あの感触を、ペニスでも。

 ルピルは亀頭の先端を、セリイの左乳首と接触させた。

「て、天使様?」

「こ、これも必要なんです」

 聞かれてもいないのにごまかしの回答をし、ルピルは亀頭と乳首を触れあわせ続けた。

 先走りがぬるぬるした潤滑液となり、それ越しに修道女の乳首の感触を味わうのはとても気持ちがよかった。

「ああ……いい」

 思わず陶然たる声を出したルピルを、セリイは見つめ、いった。

「天使様、よろしければ、挟んでさしあげましょうか?」

「え?」

「胸が、お好きなのでしょう? ですから私の胸で、天使様のおちんちんを」

 修道女からなされるとは思えない提案だったが、あまりに魅力的過ぎて、ルピルは違和感を感じることもできなかった。

「は、はい、お願いします」

 馬鹿みたいにこたえた。

 セリイは両手で自分の乳房を支え、みずから真ん中へと寄せた。

「さ、天使様、ここへ」

「は、はい」

 ふたつの乳房の狭間へと、ルピルはペニスを挿入した。

「ああ」

 恍惚とした声が、ルピルの唇から漏れた。少年天使の小さなペニスは、修道女の大きな乳房に完全に埋もれ、隠れてしまった。

 セリイは両手を使って自身の両乳房を動かし、ルピルのペニスを刺激した。

 ルピルの先走りがある程度の潤滑剤にはなっていたが、それだけでは不足と察したのか、みずからの唾液を乳房に垂らし、その足しとした。

 乳房のふわふわした柔らかさ、その皮膚のスベスベした感触、それらが唾液や先走りのヌルヌルと同時に感じられる快感。ルピルの膝からは小刻みなふるえがとまらなかった。

「気持ちいいですか? 天使様」

「は、はい」

「ちゃんと、感じて、反応してくれるのですね」

 感動したようなセリイの声には、どこか気になる響きがあった。

修道女の告解。胸へ射精の後に濃厚フェラ

「天使様、懺悔いたします。わたし、このようなことをするのが、初めてではないのです」

 両手で胸を揺すりながら、修道女はいった。

「そ、そうなんですか」

 唐突な告白に、ちょっととまどったルピルへ、セリイは続けた。

「二年ほど前のことです。本来はないことなのですが、近くの街のとある教会がどうしても人が足りないとのことで、三ヶ月ほど手伝いに行ったことがあるのです。

 そこで、小さな男の子の世話をすることになりました。…天使様と、同じくらいの男の子です」

 もちろん天使と人間だから、外見は似たようなものでも、実際の年齢その他もろもろは異なるはずだ。

「少し、知恵の遅れたところのある子でした。

 でもとても美しく、かわいらしい男の子で……ああ、天使様、罪深いわたしは、その男の子に欲情してしまったのです」

「…………」

「神様に貞操と祈りを捧げるこの人生に不服があるわけではありません。

 けれども一度……一度だけでいいから、男女の行為を経験してみたかった。

 これは唯一の機会だと思いました。その子とともにお風呂に入り、我慢できなくなって、私はその子にいたずらをしてしまいました」

 胸を揺すり、天使のペニスに刺激を与えながら、修道女は淡々と語った。

「その子のおちんちんにふれ、タマタマにもふれ、何度も愛撫いたしました。このように胸で挟んでもあげましたし、口にくわえて、おしゃぶりもしました。

 けれどもやはり、小さな男の子でしたから……くすぐったがるばかりで、彼のおちんちんが勃つことはありませんでした。もし彼がおちんちんを勃たせていたら、わたしはさらなる罪を犯していたでしょう」

 苦笑とも、自嘲の笑みとも取れる微笑みが、セリイの唇に浮いた。しかしそれは、すぐに感激と興奮に満ちたものとなった。

「けど、天使様は……ちゃんと、こんなに立派におちんちんを勃たせてくれている。わたしの行為で、感じてくれている。こんなうれしい、光栄なことはありません」

 胸を支える腕を大きく動かし、上体もくねらせ、セリイは胸による愛撫を激しくした。

 悦楽の声が、ルピルの口から漏れた。

「シ、シスター・セリイ、もう……」

「はい、出して、出してください。いっぱい、わたしの胸に」

「ふぅっ、あああっ!」

 声をあげ、ルピルは修道女の胸の中へと射精した。天使のペニスが埋没したセリイの巨乳の谷間から、白い液がびゅるびゅると飛び出した。

「ああ、すごい、天使様、わたしのおっぱいの中で、おちんちんが跳ねてる」

 感動の声を、修道女はあげた。

 射精がおわった後、ルピルはふらふらと後退し、その場にへたり込んでしまった。同時に、しまったと思った。聖液はあくまでセリイに経口摂取してもらわねばならないのだ。

 修道女に目をやると、彼女はうっとりした様子で、自分の胸にたっぷりと付着した白い液体を手ですくい、舐め取っているところだった。

「おいしい。精液とはこんなにすばらしいものだったのですね。それとも、これは天使様のものだから……?」

 清楚なシスターの、淫靡で妖艶な姿。ルピルのペニスは、ひとりでに硬さを取り戻していた。

 セリイもまた、ルピルの再勃起に気が付いた。

 床に四つん這いになり、少年天使の股間へと顔を寄せていった。

「今度は、おしゃぶりを―――フェラチオをさせてください、天使様」

 返答を待たず、大きく口を開け、ルピルのペニスを陰嚢ごと咥え込んだ。

「ふああ、ふああああっ!」

 あえぎ声は、当然ルピルのものだ。

 キスのとき少年天使を期待させた肉厚な舌は、その期待を裏切ることない快感をルピルに与えた。

 修道女の舌は極めて柔軟に、かつ激しく動き、ルピルの性器全体を舐め回した。

 手は使わず舌と唇でペニスの皮をむいた。露出した亀頭を、肉厚な舌で弾くように舐めた。あるいは蛭のように絡みつかせた。

 そのような猛烈な舌遣いをしながらも、セリイは顔を上下に振り、ペニスに対する強い吸引も加えてきた。

「で、で、出、で」

 言葉にならない声を発した直後、ルピルは二度目の射精をした。

 修道女の口内でペニスはびくびくとのたうち、先程に負けないほどの精液を放出したが、セリイはあふれ出るその恵みを一滴も残さなかった。

 出る先から喉を動かして飲み、そうしながらも舌を動かし、ペニスを刺激し続けた。

「ああ……ああ……あああ!?」

 ルピルの声に困惑が混じったのは、射精がおわってなお、セリイの舌使いと吸引が継続したからだった。

「そ、そんな―――もう出ない」

 実際にはまだ出るのだけれども、射精直後のペニスにとっては刺激が強すぎた。悲鳴に近い声をあげたルピルだが、修道女のお掃除フェラは天使のペニスに萎えることを許さなかった。

 勃起したままのペニスを口から出し、セリイは極めて淫靡にも、それでいて宗教的恍惚を得ているかのようにも見える笑みを天使へ向けた。

「まだ、大丈夫ですよね。最後まで出来ますよね、天使様」

処女の修道女に上から犯される

「横になってください、天使様。わたしが、上になりますから」

 胸を押され、ルピルは仰向けに横たわった。セリイは腰を浮かせて少年天使の上に馬乗りになり、右手でルピルのペニスを自分の膣口へとあてがった。

「あっ」

 そこまできてルピルは気付いた。まだペニスを霊体化させてない。

「待っ……」

 といいかけたものの、セリイは躊躇なく腰を下ろし、ふたりは性器と性器で繋がった。

「あああ、天使様!」

「ふああ!」

 あえぎ声を上げながらも、ルピルはセリイへと視線を送った。

 修道女が痛みを感じている様子はなかった。彼女は歓喜の表情を浮かべたまま、腰を上下に動かし始めた。

「ああ、すごい、これが、おちんちんを受け入れた感覚。至福です、気持ちよすぎます、天使様…!」

 ルピルのペニスは、大きさということなら、人間の子供同様の小さなものだ。

 それゆえにセリイの処女膜を傷つけることはなかったのかも知れないとも思ったが、結合部に目をやると、修道女の秘所からは一筋の赤い雫がこぼれていた。

「シ、シスター・セリイ、血が」

「構いません。それもまた至福の内です。さあ、もっと、もっと交わりましょう」

 痛みは感じていないのか、それとも本人のいうとおり、痛みもまた悦楽の内なのか……幸福感と興奮感にとろけきった修道女は、何度も体を上下させ、さらには腰のひねりも加えてきた。

「うぁっ、す、凄いぃ!」

 セリイの膣内の、あたたかさとぬめり気、締め付け、吸い上げてくる感覚に、はやくも次なる射精感がこみあげてきた。

「もっと、高まってください。天使様」

「い、いく、いくっ……!」

 ルピルのペニスは修道女の膣内でのたうち、濃い聖液を、その子宮へとたっぷりと注ぎ込んだ。

「ああ、感じます、天使様。あなたの精を」

 腰の動きをとめ、陶酔しきった声で、セリイがいった。

 しかし修道女は、ルピルの射精が終了するや、再び腰を動かし始めた。

「シ、シスター!?」

「まだ、まだです。天使様。わたし、まだ満足していません。もっとできますよね? わたしを満たしてください、祝福してください」

 淫蕩―――そういっていい目で少年天使を見下ろしながら、修道女セリイはいった。

夜明けと共に去る

 その後は何度も交わった。ルピルからすれば、ある意味犯され続けた。

 何度も射精し、さすがに勃たなくなると、フェラチオで再び勃起を強制され、交わりは継続された。

 もうじき東の空が白むのではないか、という時間になって、ふたりの行為はようやくおわった。

 再び修道服をまとい、先程までの乱れっぷりが嘘だったかのような清楚さを取り戻した修道女は、少年天使の前にひざまずき、両手を組んでいた。

「ありがとうございます、天使様。これでわたしは生きていけます。体だけでなく、心もまた」

 彼女は修道女という生き方からの解放を望んでいるのではないか、とルピルは思った。それなら、自由に生きても構わないのだと、そう告げてあげようかとも思った。

 けれども思いとどまった。それは余計なことであるし…多分自分のその解釈は間違ってもいる。

 彼女は何より愛している。自分が育ったこの修道院を。その教えと、その生活を。

 肉持つ人故、性愛に対して当然の興味を抱いたとしても、あくまで彼女にとって大切なのは修道院、そして修道女であることなのだ。

「あなたを祝福します。シスター・セリイ」

 そう告げて、ルピルは聖なる力を宿した指先でセリイの額に触れた。修道女はすぐに眠りに落ち、礼拝場の床に伏せてしまった。これで記憶は消える。

 ちょうど窓から朝日が見えた。

 ルピルは体を霊に変え、物音ひとつ立てず修道院を後にした。