
水晶の中の少女
目を覚ましてテントから出ると、炊事場ではすでに母が朝食の支度をしていた。
「おはよ、母さん」
「おはよう、クルン。よく眠れた?」
「うん」
そうこたえて、クルンは軽くのびをした。空はよく晴れていて、砂漠はあいもかわらず広大だった。
砂漠の秘密
「よう、おはよう、クルン」
力強い声がした方を見ると、父が身支度をととのえて、はりきった様子で立っていた。小さく、クルンは微笑んだ。
「はやいね。もう行くの?」
「朝飯を食ってからな。きょうこそ、なにか出ると思うんだ」
父はにっと笑った。
皆で朝食をとりおわると、父はすぐに、
「それじゃ、行ってくる」
南の方角にある遺跡の方へ、のしのし歩いていってしまった。クルンは母を手伝って、食器の片付けをすませてから、
「それじゃ、ぼくも遊んでくる」
母にそう告げた。
「気をつけてね。お父さんにもいわれてるだろうけど、遺跡のものに安易にさわっちゃだめよ」
「わかってるよ」
うなずいて、西の方にある遺跡へと、クルンは向かった。
遺跡はいつもと同様、殺風景だった。
太古の建造物の、柱や壁の残骸らしきものが、あちこちにある、それだけだ。
ここに来てわくわくしたのは最初の数日のみで、クルンはすぐに飽きてしまい、貴重な夏休みをこんな場所で過ごさねばならぬのかと、辟易したものだった。
いつのも場所へ、クルンは行った。
ほかの場所とどう違うとも思えぬ、二枚の壁の残骸と、三本の柱の残骸に囲まれた場所である。
その中心にある大きな岩の―――特に不自然なところはなにもない―――とあるでっぱりに、クルンが手を当てると、鈍い音とともに岩の一部が奥へとずれ、隠された地下への階段が姿を見せた。
そそくさと、クルンは地下への階段へと足を踏み入れた。
降りてすぐのところに、さきほど同様開閉スイッチとなっている出っ張りがあるのでそれにふれ、秘密の入り口を閉じた。
軽く嘆息し、クルンは暗闇のなか、階段を下り始めた。
この場所を偶然にして発見したのは、ちょうど一週間前のことだった。
考古学者の父が知れば驚喜するに違いないこの事実を、いまのところクルンは誰にも告げていない。ここはクルンだけの秘密の場所なのだ。
ややカーブした階段を、五分程度くだった頃だろうか、下の方に、淡い光が見えてきた。
もう少し行くと階段は終わり、神秘的な光に包まれた広い場所に、クルンは出た。
そこがどのような過程で発生し、なんのために存在する場所であるのか、クルンには想像もつかない。
その大空洞には巨大な無数の水晶柱がひしめきたち、遙か高みにある天井部分にも、つららのような水晶柱がびっしりと生えているのが見てとれた。
洞内はきわめて明るいが、どこかから日がさし込んでいるわけでも、どこかで炎が燃えているわけでも、はたまたどこかに電灯があるわけでもない。
水晶柱のひとつひとつの内部で輝く、まばゆいきらめき―――それらこそが光源そのものだと、そう考えるしかなさそうだ。
クルンの目は、まっすぐ前を向いていた。その先は洞内でもひときわ大きな水晶柱があった。
頬を上気させ、恍惚とした表情で、クルンはその前まで歩いていった。
あまりにも美しいふたりの少女を見つめながら自慰
「ああ」
あえぐように息をついた。
ひときわ大きな水晶柱の内部には、ほかの水晶柱にはないふたつの影があった。
少女―――である。
一糸まとわぬ、ふたりの裸の少女が、まるで氷づけにされたかのように、柱のなかに浮いているのだ。
ひとりは紅い、もうひとりは青い、どちらも長い髪をしていて、夢のような美貌は安らかな表情のまま、その両目は静かに閉ざされていた。
「きれいだ……」
とクルンはひとりごちた。
ここでふたりの少女の姿を見まもりつづけることが、ここ数日のクルンの日課となっていた。
朝食を食べた後この場所へ来て、日暮れ前頃、後ろ髪を引かれる思いでキャンプへ戻る。そんなことを、もうずっとつづけている。
「はあ……」
ため息をついたとき、クルンの下半身から上半身に向かって、鈍いうずきのような感覚が、じわり、と広がった。
ズボンのなかのペニスが熱く勃起していくのを、クルンは感じた。
視線はふたりの少女から離せなかった。
少女はふたりとも、クルンと同じくらいの年頃に見えた。
絹のような肌は透きとおるように白い。すべてが無防備に、クルンの目の前にあらわになっている。
細長い手足、胸の小ぶりなふくらみ、その頂にある、形のよい小さな乳首、恥丘と、その下部にある割れ目、角度によっては、両太股のあいだに秘された、女性器さえはっきりと見えるのだった。
「――――――」
したい、とクルンは思った。
十三歳の少年としては、このような美しい少女の裸体をまえにして、ただ芸術品を鑑賞するだけのような気持ちですむはずは、最初からなかった。
それでもこれまで行為に及ぶことがなかったのは、このふたりの少女を性処理の対象とすることに、やはり少年らしい潔癖性にもとずく、心理的抵抗を覚えたからだった。しかし、もう我慢できそうもなかった。
息は自然と荒くなっていた。
かちゃかちゃと慌ただしく、クルンはベルトを外してズボンを下ろし、その下のトランクスもまた下ろした。
堅く膨張したペニスは、まっすぐにふたりの少女の方へと向いていた。
陰茎を右手で握り、クルンは激しくしごき始めた。
「は、は、は、ああ」
鈴口からは透明な液があふれ、手の方にまで流れてきた。
「ああ、ああ、あぅあ」
先走り液は次から次からわいてきて、手の動きとともに、ぐちゃぐちゃと音を立てた。
「ああ、ああ、ああ、うあっ!」
そして果てた。
水晶によるきらめきの世界で、少年の精液もまた、白いきらめきと化して飛び、中空に美しい放物線をえがいたあと、ふたりの少女が眠る水晶柱へと付着した。
「はぁ、あ……」
その場に両膝を、クルンはついた。
久々の自慰であったので、快感は強く、気分も爽快であったが、一方では心の奥に、後味の悪さのようなものが残った。
とそのとき、クルンは前方から視線を感じた。
少女たちからのダブルフェラ
「えっ―――?」
と顔をあげ、驚きのあまり硬直した。水晶柱のなかの、ふたりの少女が、その両目を開いて、クルンの姿を見下ろしていた。
困惑しているクルンに向けて、紅い髪の少女が、どこか淫靡に微笑んだ。青い髪の少女も、また同様に微笑み、クルンへと右手を伸ばして、
「おいで」
といった。
「うぁっ」
と声をあげると同時に、クルンの体はひとりでに宙に浮かび上がり、水晶柱へと―――少女たちの方へと向かった。
水晶柱の壁面に接触するときは目をつぶったが、体にはなんの抵抗も衝撃もなく、クルンの肉体は壁面をすり抜けて水晶柱の内側へ入り込んだ。
水晶柱の内部は不思議な空間だった。
水中のようにも、あるいは無重力空間のようにも感じた。
呼吸には問題ない。ふわふわして、うまく身動きがとれないクルンの方へ、ふたりの少女が泳ぐように、あるいは浮遊するように近づいてきた。
「無粋ね、こんなもの、溶かしてしまいましょう」
と、紅い髪の少女が、クルンのシャツにふれていった。
下半身こそ丸出しであるが、上半身にはシャツが、足には靴と靴下が、足首には下ろしたズボンとパンツが、まだ身についたままである。
しかし少女の手が淡く光ると、それら衣類は白く輝き、きらめきとともに消えてしまった。
「これで私たちと同じ。久しぶりのお客様だわ。遊びましょう」
おっとりした声で、青い髪の少女がいった。クルンは声をうわずらせながら訊ねた。
「そんな、遊ぶって、ぼくにいったいなにを」
「そんなの、きまってるじゃない」
紅い髪の少女が、クルンのペニスを握ってきた。
「わたしたちを見て―――してたんでしょう? いいんですよ、もっといいこと、してあげるから」
青い髪の少女がクルンの髪をなで、ふたりの少女は一緒になって、クルンの股間へと顔を近づけていった。
フェラチオされるのだとは、すぐにわかった。思考は未だ困惑していたが、体は期待に対して正直に、萎えかけていたペニスを再び硬くこわばらせた。
「それじゃ、わたしから」
そういって、紅い髪の少女がクルンの亀頭を口に含んだ。青い髪の少女は顔を沈め、舌で睾丸を舐めまわしはじめた。
「ああ、ふああ」
初体験する未知の快感に、クルンはあえいだ。
紅い髪の少女はしばらく亀頭をしゃぶりつづけたあと、一度ペニスから口を離し、舌先をもって亀頭の裏側を、つづいてペニスの幹を上から下へと舐めていった。
青い髪の少女は逆に、舌を睾丸から亀頭へと這いあがらせて、最終的には先端を口に含み、ぴちゃぴちゃと亀頭を舐めた。
「ああ、うあ、あああ」
「そろそろね」
「そろそろね」
ふたりの少女は同時にそういって、互いの舌がふれあうのもかまわず、一緒になって少年の亀頭を激しく舐めまわした。
「ああ、いく、出る!」
叫び声とともに、クルンの先端から、しぶきのように大量の精液が飛び出した。
顔に、髪へと降りかかる白濁液を、うっとりした表情で受けとめたふたりの少女は、それぞれの顔にかかった精液を、キスしあうかのように舐め取り合い、
「おいしい」
「じゃあ、つぎへいきましょ」
そういいあった。
ふたりの少女と幾度も交わる。その果てにあるのは……
「つ、つぎ?」
といったクルンのペニスに、青い髪の少女が再びしゃぶりついた。
紅い髪の少女が、軽くクルンの胸を押して、この水中のような、無重力のような不思議な空間のなか、横にならせた。
クルンのペニスに再び堅さを取り戻させた青い髪の少女が、口からペニスを出し、クルンの腰の上にまたがってきた。
見せつけるように、自分の女性器を指で広げ、手をもってペニスをそこにあてがい、そうして腰を落とした。
「うわ、ああ!」
潤みきった膣内のあたたかさと気持ちよさに、声をあげたクルンの顔面を、次の瞬間あついものがふさいだ。
紅い髪の少女が、クルンの顔の上に馬乗りになり、その女性器を押しつけてきたのである。
「わたしはこっち、舐めて」
なんともたとえようのない、甘酸っぱい芳香に、クルンの脳はすぐにとろけた。
両手で少女の尻を抱え込み、むさぼるようにクルンは舐めた。
ふたりの少女も、甘い声をあげはじめた。
「うん、そこよ、ああ、気持ちいい」
「わた―――しも、この子、いい、最高」
そうしてクルンは何度も何度も、ふたりの少女と交わりあった。
青い髪の少女のなかで果てた後は、ふたりの少女が互いの立場をいれかえたので、こんどは紅い髪の少女と交わり、青い髪の少女のヴァギナを舐めた。
そんなことを果てしなくくりかえし、やがて精も根も尽きたころ、紅い髪の少女がクルンの頬にキスしていった。
「あなた、ずっとここにいなさい。ずっとここで、私たちと遊んでいましょう」
青い髪の少女が、クルンの胸をなでながらいった。
「それがいいわ。ずっとここにいて、そしてあなたも光となるの」
その言葉の意味が、わかるようなわからないような、朦朧とした気分でクルンはいた。
ただ非常な眠気を感じたので、体が溶けるような感じを覚えながら、クルンは眠りに落ちてしまった。